我が愛しのバウムクーヘン

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バウムクーヘンて知ってるだろう?
そう、年輪みたいなスジの入ったアレさ。
これは内緒なんだけど、僕はあのスジを一枚ずつ剥がすことができるんだ。
…え、意味が判らない?
ふっ、嘘つきだな。一度でもバウムクーヘンを食べたことのある奴なら、焼きスジどおりに生地をうすーく剥がしたいというあの誘惑に勝てないはずだ。そして無情にも途中でぽふっと切れる、あの悔しさ。
ほら、覚えがあるだろう?
僕はその悔しさをバネに毎日毎日特訓したんだ。その甲斐あって、今ではスジどおりにくるりと綺麗に剥がせるんだよ。
…なに、不味そうな食べ方だって?
気の毒だ、この匠の技が判らないとは。
でも最近ショックなことがあってね。
ある男にせがまれて、そいつの前で技を披露したんだけどさ。
「おお同志よ、素晴らしい!実は私もよく似た特技がありまして」
そしてそいつは紙袋から何かを取り出した。
「ただ私の場合はクロワッサンですがね」
その他
公開:21/01/19 17:00
バウムクーヘン大好き こんな食べ方はやめましょう笑 現在『日本おいしい小説大賞』の 原稿に取り組んでおり 3月末まであまりこちらに 投稿できません 皆様のお庭へのコメントも なかなか書けなくなりますが どうか覚えててやって下さい #106

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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