満たされない

普段とは違う顔ぶれの道、確信のない歩みを進め駅につく。
どんよりとした空模様と溶け合うようなこの気持ちに折り合いをつけられないまま、電車を待った。
いつも幸せとは正反対の方向へ向かっている気がする。

３ヶ月前、彼に電話し泣いてしまった。
泣くつもりはなかったがこぼれ落ちる涙を止められずにいた。
静まりかえった電話の向こうで彼はなにか謝っているようだったが、彼が放ったどの言葉も私の心を満たさなかった。
あのとき自分が何を求めていたかは分からない。
ただどこか満たされていないように感じるその正体が何なのか、捉えたかったのだろう。
けれど、彼の負担になってしまった。それだけは避けたかったのに。

時刻表通りに電車が駅へ入ってきた。
電車に乗り込み、車窓から流れていく曇り空を眺める。
この混沌とした感情を晴らしてくれる何かを求めて、彼の住む街へと向かう。