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イラクへの道中。男はラクダから垂れた引縄を握っていた拳の力をほどいた。水が尽きた。鞍にぶら下がった瓢箪は先ほどまでラクダの横っ腹に鈍い音を立てていたはずだったが、気づけば軽快なリズムを刻んでいた。
男はラクダのコブを睨んだ矢先、ラクダの腹を躊躇なく地面から天へと蹴り上げた。ラクダは口からドブドブと水を吐くと、男は鞍に結われた中で一番大きな瓢箪をちぎって水を入れ、がぶがぶと飲み干した。片コブはみるみるうちに萎えた。
道半ば、男は残ったコブを再度睨んだ。ラクダの腹を蹴り上げようとすると、今度は逆上したラクダに腹を蹴り飛ばされた。男は先ほど飲んだはずの水をどぶどぶと吐くと、ラクダは水が砂に溶けてしまう前にガブガブと飲み干した。萎えていたコブは元通りになった。
町に着いた頃には身体こそ傷だらけだったが、からりと光る砂漠の暑さを全く感じさせないほど、二人の肌は瑞々しさを保っていた。
男はラクダのコブを睨んだ矢先、ラクダの腹を躊躇なく地面から天へと蹴り上げた。ラクダは口からドブドブと水を吐くと、男は鞍に結われた中で一番大きな瓢箪をちぎって水を入れ、がぶがぶと飲み干した。片コブはみるみるうちに萎えた。
道半ば、男は残ったコブを再度睨んだ。ラクダの腹を蹴り上げようとすると、今度は逆上したラクダに腹を蹴り飛ばされた。男は先ほど飲んだはずの水をどぶどぶと吐くと、ラクダは水が砂に溶けてしまう前にガブガブと飲み干した。萎えていたコブは元通りになった。
町に着いた頃には身体こそ傷だらけだったが、からりと光る砂漠の暑さを全く感じさせないほど、二人の肌は瑞々しさを保っていた。
SF
公開:21/01/20 16:00
更新:21/01/20 09:32
更新:21/01/20 09:32
バケツ
腹
腹(コブ)
まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから
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