払い猫
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「そのまねきねこ、前足が変な方向に向いているな」
上司が話しかけてきた。
今日の前座は僕のデスクの上の置物についてらしい。
終業時刻ギリギリ、いつものことだ。
「これですか?『はらいねこ』って言うんです」
「はらいねこ?」
「ご存知ないですか?」
「なに、もちろん知っている。知っているとも。ところで佐藤くん……」
ほら来た。この時間に上司が僕の名前を「くん」付けで呼ぶのは、面倒を押し付けられる時だと決まっている。
頼むぞ、はらいねこ。
「あ……いや、なんでもない」
よしっ。僕はデスクの下で小さくガッツポーズをした。
上司は「何を言おうとしたんだっけな……」と呟きながら去って行く。
今日は久々に残業なし、定時で帰ることが出来そうだ。
はらいねこ。
ストレス社会と言われる現代。この置物が、その原因となるものを「払う」ことができるという噂は、どうやら本当だったようだ。
上司が話しかけてきた。
今日の前座は僕のデスクの上の置物についてらしい。
終業時刻ギリギリ、いつものことだ。
「これですか?『はらいねこ』って言うんです」
「はらいねこ?」
「ご存知ないですか?」
「なに、もちろん知っている。知っているとも。ところで佐藤くん……」
ほら来た。この時間に上司が僕の名前を「くん」付けで呼ぶのは、面倒を押し付けられる時だと決まっている。
頼むぞ、はらいねこ。
「あ……いや、なんでもない」
よしっ。僕はデスクの下で小さくガッツポーズをした。
上司は「何を言おうとしたんだっけな……」と呟きながら去って行く。
今日は久々に残業なし、定時で帰ることが出来そうだ。
はらいねこ。
ストレス社会と言われる現代。この置物が、その原因となるものを「払う」ことができるという噂は、どうやら本当だったようだ。
その他
公開:21/01/19 21:38
更新:23/03/17 23:31
更新:23/03/17 23:31
追い出し猫は実際にあるらしい
はらいねこ
ひらがなのほうが好き
(玖寓→久寓に変えました)
読むのが好きです。
書くのは好きだけど苦手です。
作品を読んでいただきありがとうございます。コメント等大変励みになっております。
1週間に1作品投稿を目標にしています。
(現在体調不良のため休み中)
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