クモイルカ

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 高校で眠たい現国の授業を聞いている時、ふと窓の外へ視線を彷徨わせると、イルカ達が空を飛んでいた。
 クモイルカと呼ばれる彼らは真白な身体をしていて、手触りもフワフワしているのだとか。それは、いつでも白い雲を主食としているからなのだと、前に動物番組でやっていた。
 イルカはいいなと思う。こんなポカポカの陽気に、高校で眠たいつまらない授業を受けている私とは違って、自由に伸び伸びと空を飛んでいられるのだから。
「だが、空の自由を得るのにもまた代償が必要なのです」
 急に前から虚ろな声が聞こえて、私はドキリとしてしまった。
 けれど、それは教師が目をしょぼつかせながら教科書を読んでいるだけのことだった。
 人騒がせだなぁと心の中で思いながら、私はもう一度、窓の外を見た。けれど、もうそこにはクモイルカ達の姿はなく、彼らが食べたのだろう白い雲の残骸が浮いているだけだった。
ファンタジー
公開:21/01/18 07:40
更新:21/01/27 20:21
稀比都市サーガ

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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