先生

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放課後、静かな教室。遠くの体育館から、デジタルタイマーのブザー音が微かに聞こえる。

「最近、死にたいって思う時があるんです。」

窓の外をぼんやりと眺めながら話しだす少年。

「なんか、うまくいかなくて。」

年相応のあどけなさを残す顔には、どこか諦めが見えた。

思春期特有と言えばそこでおしまいなのだろうが、それで片が付くのなら、先生や周りの大人なんていらないのだろう。僕の時には…助けてくれる大人なんていなかったけれど。

「先生は、思ったことありますか?死にたいって」

一瞬、右手の中指の先がチリっといたんだ。

「あるよ。」

彼の視線がこちらへと移る。その表情は、さっきとは打って変わって少しの希望に満ちていた。

「でも今は、君らよりは先に死ねないと思えるようになったよ。」

僕は先に生き、先に死ぬ。苦しみながらも生きていく、彼らの指標にならなければならないのだから。
その他
公開:21/01/17 23:59

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