黄金の卵は見ている

村の中心に、見上げるほどの巨大な黄金の卵がある。
数年前、空から落ちてきたらしい。
神様からの贈り物で、大切にすれば幸福を与えてくれる鳥が生まれるといわれている。
村の人達は神様に感謝しながら卵を大切にしていたが、いつまで経っても生まれないで、疑問視する声が挙がった。
「いつ割れるんだよ」
「邪魔だし処分しよう」
「本当に幸福を与えてくれるのかぁ？」
処分するにも卵が大きすぎる。
結局、誰も手を出さずに放置する日が続いた。

ある日、卵にヒビが入り村中大騒ぎになった。
「おお！ようやく幸福を与えてくださるぞ！」
邪魔扱いしてたくせに、こういう時に限って図々しい。
卵が縦に真っ二つに割れ、村の人達が待ち望んだ鳥が姿を現す。
「アホー」
小さい鳥が吐き捨てるように鳴きながら、空に向かって飛んでいった。
これが、日頃の行いの結果だそうだ。
村の人達は唖然としながら、飛んでいく鳥をずっと見ていた。