ブラックアウト

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あれ、と男は思った。
視界がおかしい。だけど呼吸はしている。
だが、どんどん視界がモノクロになっていく。
ソファーに寝そべって、男はあれこれ思案する。

何をしていたんだっけか。
酒を飲みすぎた覚えがない。
車にはねられた覚えもない。
体調はどうだろうか。
熱は平熱。骨も丈夫。体のだるさはどこにもない。
考えれば考えるほどぼんやりする頭。
ああ、思い出した。たしか。

ようやく思い出としたと同時に、男の視界は暗くなった。
男はそこで意識を手放した。
そして男の顔の上には。


飼っている大きな黒猫が、我が物顔で乗っかって、居眠りをしていた。
その他
公開:21/01/17 21:37
ふらつく瞳孔 ブラックアウト

十一 紅空( 関西 )

とかず あく と申します。
駆け出しの物書きです。
文章のトレーニングに励みつつ投稿していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

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