ストップ

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 機嫌が悪い日。私が道端を歩いていると、スマホを構えた高校生らしき男とすれ違った。
「止まれ!」
 突然その高校生が叫び、私は反射的にその場で固まった。
 それを見て高校生がスマホに向かって自信気に言葉を放った。
「皆さん見たでしょうか、僕は人の動きを止める能力があるんですよ」
 私は機嫌が悪いこともあってか、今までにないほどの憤怒を抱いた。高校生に向かって怒鳴る。
「止まれ!」
「はは、止まるかよ」
 高校生は馬鹿にしたように口を動かしたが、動いたのは口だけだった。片足を前に出した状態のまま歩みがストップ。どれだけ力を込めても動くことができない。
「うわっ、うわっ」
「一生そのままでいろ!」
 私は歩き去った。
「助けて! ごめんなさい、ごめんなさい!」
 後方で泣き叫ぶ子どもの声が聞こえる。
「人の歩みを止めるような奴に動く権利はない!」
SF
公開:21/01/17 19:11

shomin shinkai( 日本 )

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