少年と僕

1
2

ある朝。畑を耕していると目の前に少年が現れた。

「え!おじさん、ここどこ?」
「茨城」
「茨城?僕の知ってる茨城じゃない!」

少年は驚く。

「今、何年?」
「2040年」
「えー!僕ね、本を見てたの。今から50年後はこうなっているかもってイラストがあって、未来のこと考えてたらいつの間にか」

……と、いうことは?

「すると、君は1990年から?」
「うん……ねぇ、車って空飛んでる?」
「飛んでない」
「月に人は?」
「住んでない」
「宇宙旅行」
「行けない」
「えー、全然イラストと違う!」
「そんなもんだよ」
「あ、じゃあタイムマシンは?」
「それは……ある」
「あるのー!」

少年をタイムマシンに乗せ、1990年へ送り届ける。

「おじさんが作ったの?」
「そうだよ」
「カッコいい!僕も作りたいな」

……作ることになるよ。

じゃないと、こうして少年の僕を、送れなくなるからね。
ファンタジー
公開:21/01/19 09:45

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト 入選 「とんでかえる」

隕石家族×ショートショートガーデンコラボ 小惑星賞 「詠み人家族」

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容