不思議な家

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70年近く前、小学校の帰りに友達の家に遊びに行った。彼の両親は共働きの為昼は留守で、玄関には鍵が掛かり入れない。
今日は僕と一緒だし君も入れるよと言い、鍵で開けるのかと思ったが、自動扉の様に前に立つと勝手に開き、入るとバタンと閉まった。
便利な扉だねと言うと、うん家族を覚えていて開け締めしてくれるんだと。
おやつ一緒に食べる?と聞くのでウンと応えると、トースターの中に食パンが二切れ勝手に入りブーンと音がして暫くすると、ピョンと飛び出しお皿の上に乗った。するとマヨネーズと言う物が瓶に入って出てきた。瓶の蓋が開き匙でパンに塗り始めた。
初めて食べる物でとっても美味しかった。後日チューブ入のマヨネーズは当たり前になったが、当時にそんな珍しい物が有ったのが羨ましかった。
玄関扉・トースター・パン・マヨネーズ・匙までが、心があるように勝手に動きおやつを出してくれたのか未だ分からない。
ファンタジー
公開:21/01/19 06:35

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