ペットホテル

ペットホテルを訪れた私はキャリーケースごとフロントに預ける。
「ご宿泊期間は？」
『そちらに任せます』
「かしこまりました。トリミングを施し、味が出た頃にまたご連絡差し上げます」

半年後、ペットホテルから連絡が来た。
「いい塩梅に仕上がりました。宜しければ味見にお越し下さい」
すぐにペットホテルへと向かい、テイスティングを依頼する。
目の前で栓が抜かれる。
まずはワインの香りを楽しみ、軽く口に含む。
『うん。いい感じに仕上がっていますね。これで大丈夫です』
「かしこまりました。では、他のもお包み致します」
一流のペットホテルに預けて正解だった。おかげで安物のペットボトルワインが本物のワインと遜色ない出来となった。
しっかりと寝かせてもらった上、お洒落な瓶への詰め替え作業（トリミング）を施す事で高級感を醸し出す見た目へと変化している。
これならソムリエでもない限り、ウチの客は騙せるだろう。