作家志望を殺す100の方法
0
1
五年の歳月がかかった。
ついに私は『消したい記憶を消す装置』を開発したのだった。
コンピュータに消したい記憶を登録すると、私はスイッチを押した。
――目の前に原稿用紙の束があった。
なんだこれは。中身を読み始めた私は顔を歪めた。
ひどく独りよがりな小説だった。読む人のことなどまるで考えていない、それでいて自分は才能があると過信している厭味たらしいゴミ溜め以下のくそ小説だった。これなら私のほうが数倍面白い小説が書ける。
物語は盛り上がることなく終わり、最後のページには作者からのメッセージが書かれていた。
「どうだっただろうか。率直な感想を知りたい。そのために長い時間をかけて『消したい記憶を消す装置』を開発したのだから」
文章の最後には私の名前が書かれていた。
私は(私と同じような境遇の人間もいたものだ、それも同姓同名とは驚きだ)と思い、文句を言ってやるためにくそ小説の作者を探し始めた。
ついに私は『消したい記憶を消す装置』を開発したのだった。
コンピュータに消したい記憶を登録すると、私はスイッチを押した。
――目の前に原稿用紙の束があった。
なんだこれは。中身を読み始めた私は顔を歪めた。
ひどく独りよがりな小説だった。読む人のことなどまるで考えていない、それでいて自分は才能があると過信している厭味たらしいゴミ溜め以下のくそ小説だった。これなら私のほうが数倍面白い小説が書ける。
物語は盛り上がることなく終わり、最後のページには作者からのメッセージが書かれていた。
「どうだっただろうか。率直な感想を知りたい。そのために長い時間をかけて『消したい記憶を消す装置』を開発したのだから」
文章の最後には私の名前が書かれていた。
私は(私と同じような境遇の人間もいたものだ、それも同姓同名とは驚きだ)と思い、文句を言ってやるためにくそ小説の作者を探し始めた。
SF
公開:21/01/18 20:00
仕事をしながら1日1時間小説を書く二児の父です(ショートショートや短編、稀に中編)。
twitter⇒https://twitter.com/Ln4Xy
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます