絵も書ける雲

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想像力は奇跡を起こす。
少年は想像する。元気な父の姿を。
毎朝、晴天の雲を見つめ、思い描く。
ここ一年、父の笑った姿を見ていない。
365日、祈った。願った。
雲というキャンパスに思い描いた。
父は元気になった。

青年は想像してみる。
大金を手にし、優越感にひたり、人を支配し、肩で風を切る自分の姿を。

あの頃の事を思い出す。
父の回復を祈り、毎日のように、雲に描いていた日々を。
もう、今は描けなくなった。
想像できない。

今の自分。
金もなく、友人もなく、家族もいない。
いつからだろう、人の幸せを願って生きるのを止めたのは。

雲というキャンパスには、自分の事しか考えていない者には描けない。
人の幸せを願って初めて描け、そして、又、自分の幸せにもなる。
その他
公開:21/01/17 16:31

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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