豊かなシグナル

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二人の仲しかわからないものがある。
教室の床を二回、踵で鳴らせば簡単な愛情表現で、3回鳴らせばより大きな愛情表現になる。
廊下ですれ違ったとき、拳をぐっと握りこんだらこれもまた二人にしかわからないものになる。
二人以外にはそのシグナルはなんの意味も持たない。それが二人だけのストーリーを作り上げているようで楽しい。
もし、別れたら記憶の中でシグナルは生き続けるだろう。
その時は脳にこびりつく汚れになりかねない。
僕らは軽々しい気持ちで作り上げてしまった気がする。
いつかシグナルが輝きを失ってしまうのが怖かった。
青春
公開:21/01/17 09:39

ねぎ( 埼玉県 )

20歳、チキンナゲットが好き!
Twitter→@negi_hayane

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