What a waste of a lovely night
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雰囲気にも後押しされ、もう二杯目を注文した。
「今度は柑橘系のをお願いできますか」
初めて一人でバーに入ったが、来てよかったと感じていた。
「オリンピックというカクテルです」
鮮やかな黄色をしたそのカクテルに、紗矢は夢を見た。黄色のドレスを着てヒロイン然として踊る自分。
昨日見たミュージカル映画の影響なのは明らかだった。
その姿があまりにも現状の冴えない自分とかけ離れていたため、すぐ夢から覚め、そんな夢想をする自分が我ながら不憫に思え、一粒、二粒と落涙した。
すると二つ左の席に座っていた男性がすっとやって来て、
「大丈夫ですか。良かったら、これ」
と綺麗に整えられ、柔軟剤の香りがするハンカチを差し出してきた。
「あ、すみません。ありがとうございます」
と伏し目がちに返した紗矢だったが、顔を上げると見覚えのある男。
頭の中に「A Lovely Night」が流れ始めた。
「今度は柑橘系のをお願いできますか」
初めて一人でバーに入ったが、来てよかったと感じていた。
「オリンピックというカクテルです」
鮮やかな黄色をしたそのカクテルに、紗矢は夢を見た。黄色のドレスを着てヒロイン然として踊る自分。
昨日見たミュージカル映画の影響なのは明らかだった。
その姿があまりにも現状の冴えない自分とかけ離れていたため、すぐ夢から覚め、そんな夢想をする自分が我ながら不憫に思え、一粒、二粒と落涙した。
すると二つ左の席に座っていた男性がすっとやって来て、
「大丈夫ですか。良かったら、これ」
と綺麗に整えられ、柔軟剤の香りがするハンカチを差し出してきた。
「あ、すみません。ありがとうございます」
と伏し目がちに返した紗矢だったが、顔を上げると見覚えのある男。
頭の中に「A Lovely Night」が流れ始めた。
その他
公開:21/01/16 22:00
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