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カッターは紙を切る。それが、カッターの定め。カッターの宿命。
また紙を切ってしまった。全てを人の手に委ねて。その時が来れば、来る日も来る日も紙を切る。あの瞬間、神の声が聞こえた。いや、紙の声が聞こえた。
「どうか切らないでください。ああ」
紙は切られて当然だと思っていたが、切られたくない紙もいる。キレイに切られたい紙もいる。切ない。もう切れない。しかし、カッターとしては切りたい。切らなくてはならぬ。許してくれ。紙とカッターは分かり合えないのだろうか。
「そんなことないよ」
「え?」
「キミはわかってくれたじゃないか。ありがとう」
涙で刃が錆びついてしまった。錆びたカッターは、紙を切れなくなった。
カチッ。
刃が折れた声が聞こえた。刃が替わり、進む音が聞こえた。
また紙を切ってしまった。全てを人の手に委ねて。その時が来れば、来る日も来る日も紙を切る。あの瞬間、神の声が聞こえた。いや、紙の声が聞こえた。
「どうか切らないでください。ああ」
紙は切られて当然だと思っていたが、切られたくない紙もいる。キレイに切られたい紙もいる。切ない。もう切れない。しかし、カッターとしては切りたい。切らなくてはならぬ。許してくれ。紙とカッターは分かり合えないのだろうか。
「そんなことないよ」
「え?」
「キミはわかってくれたじゃないか。ありがとう」
涙で刃が錆びついてしまった。錆びたカッターは、紙を切れなくなった。
カチッ。
刃が折れた声が聞こえた。刃が替わり、進む音が聞こえた。
その他
公開:21/01/16 20:59
更新:21/05/09 22:16
更新:21/05/09 22:16
カッター
刃
不思議
童話
はじめまして。
前虎と申します。
作品を読んでいただけたら嬉しいです!
よろしくお願い致します。
「小説家になろう」さんにも掲載中です☆
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