自動運転生活

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初めてその機能が発動したのは小学生、苦手な水泳授業のある日。嫌々登校していた時だった。
心底逃げ出したいと願った。
すると意識はあるものの体を操縦している感覚がフッと消えた。
今で例えると車の自動運転。ハンドルとアクセルから手足を離している状態。ただ座って流れる景色を眺めるだけ。
そのまま何限か授業の後、嫌な水泳の授業を受けた。
ただ私はそれを見ているだけ。辛いという感情は無かった。そして体に感覚が戻ったのは下校時だった。
私は何が起こったか分からず当初はただ怖かった。
その後、同じ体験をする内にコントロール出来るようになっていった。
やがて神様がくれた力だと理解した。
困難や辛い事が起きそうな時には発動させ傍観する。
不思議とその方が良い様に事が運んだ。
無事就職でき、結婚もし子宝にも恵まれた。

そして今
もう手動運転では全く立ち行かなくなった。
終始自分の人生を傍観しているだけ…
SF
公開:21/01/14 16:37

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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