怪獣前線
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今晩から明日にかけて大荒れの天気となります。ラジオからの事務的な読み上げに従って、周りが避難の準備をしている頃、ぼくは人目を盗んで波止場に顔を出していた。
さあ、あの子がやってきた。今年は一段と膨らんでいる。きっと通り道に当たる南の海の居心地が良かったのだろう。
雲の色の翼に海の色の瞳、雷鳴の声を持ったあの子は毎年、この町にやってくる。今年も沢山の雨をお願いね、というぼくの声が聞こえているのかいないのか、あの子はどんどん羽ばたきを強め、陸地に近づいていく。
その夜、避難所の屋根が今にも壊れそうに軋み、その度にぼくと同じぐらいの子供達が悲鳴を上げるのを聞いて、あの子が頑張っているんだな、と思う。
夜中中、あの子の羽ばたきが町一帯を包み、あの子の涙が町一帯に降り注いだ。そして明け方、町いっぱいに響く、仕事を終えたあの子の誇らしげな声を聞いてぼくは、今年も夏になるな、と思った。
さあ、あの子がやってきた。今年は一段と膨らんでいる。きっと通り道に当たる南の海の居心地が良かったのだろう。
雲の色の翼に海の色の瞳、雷鳴の声を持ったあの子は毎年、この町にやってくる。今年も沢山の雨をお願いね、というぼくの声が聞こえているのかいないのか、あの子はどんどん羽ばたきを強め、陸地に近づいていく。
その夜、避難所の屋根が今にも壊れそうに軋み、その度にぼくと同じぐらいの子供達が悲鳴を上げるのを聞いて、あの子が頑張っているんだな、と思う。
夜中中、あの子の羽ばたきが町一帯を包み、あの子の涙が町一帯に降り注いだ。そして明け方、町いっぱいに響く、仕事を終えたあの子の誇らしげな声を聞いてぼくは、今年も夏になるな、と思った。
その他
公開:21/01/14 14:48
海と魚と怪獣が好き。
飽きやすいので継続できるかどうか分かりませんが、今は文章を書くのが楽しいです。
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