私は見える人

0
2

私は昔から他人には見えないものが見えていた。
『いや~、まさか見える人に会えるとは…感激です!僕、影が薄くていつも気付かれないんですよ』
ビアガーデンでビール片手に笑う死神。私の目に映る彼はスーツを着た骸骨だ。
スーツの腹がポッコリと出ている。私には見えていないが、きっとそこには死神の肉があるはずだ。
厨房へと目を向けると、調理服を着た人体模型にしか見えない何かが動いている。あれも死神だ。
私には昔から、死神が中途半端な形で見えてしまう。
死神は幽霊と違い、話が通じる相手なので苦労はない。
死神と話していると後輩が遅れてやってきた。
私は後輩に手招きする。「『こっちこっち』」
ん?
「先輩も一緒でしたか。紹介しますね。こちら、人間の先輩・神林さん。こちら、死神の先輩・不死川さん」
私とスーツ骸骨は首を傾げる。
「実は僕、副業やっているんですよ」
ああ、そう言う事か。
で、どっちが副業だ?
ホラー
公開:21/01/15 20:25

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容