この村は悪魔が守っている

その戦士は王様のお気に入りだった。
ある時自分の地位を脅かされるのではと思った側近が、王様にいくつもの嘘の忠告をした。 王様はそれを鵜呑みにし、戦士を超過酷な戦地へ何度も赴任させたが、その度にみごとに戦いぬきボロボロで帰還した。
　
　そこで王様は、何の落ち度もない村を全滅させてこいと命令した。 戦士はさすがに抵抗したが、命令は絶対だった。 仕方なく戦士は命令を遂行し、帰還した村の人々から嫌われ、石を投げられるようになってしまった。

ある日、彼の元へ悪魔が来た。 悪魔は王様が変わってしまった理由を話して聞かせ、その上で「お前も悪魔となって復讐しないか」と誘ってきた。 最初、頑なに断っていた彼だったがついに了承した。
　
　悪魔となった彼は村から姿を消した。 復讐はしなかった。彼は王様や村人に近づく災いの元を悪魔の力で取り除いた。 もう二度と自分のような者を出さないように…。