始まりのスイッチ

頭が働かない。
連休明け、以前までは難なく動いた内心のレバースイッチが、錆び付いたように頑として動かない。

あるいはこの寒さで可動部が凍り付いてしまったのかも知れない。

インターネットの通信速度にも大雪の影響があるのか、大渋滞の様相だ。クリックの反応が五、六秒と平気で遅れ、ひどい時には十秒以上固まっている。エディター・ウィンドウを移動すると、残像がかくかくと動く。まるで雪原を彷徨う身寄りのないゴーストみたいに。

どうしようもないので、諦めて風呂を追い焚きする。まずは心身に熱を与えてやらねばならない。エネルギーを。

湯船の中でかじかんだ指をほぐす。全身が力を取り戻して行くのがわかる。頭はまだぼんやりとしているが、そのうち動き出すだろう。薪はくべた。あとは火が水を沸かすのを待つだけだ。

コーヒーを飲み、キーを叩く。
焦ることはない。

朝の静かな時間の中で、ゆっくりと今日を始める。