シルク縫合糸

彼女から送られてきたプレゼントだった。
真四角な白い木箱を開けると緩衝材、緩衝材も真っ白、ほぐして探る指先にふわりとさわるものを取り出す。机の上に白い紙を敷いてころんと転がしたのは繭のようであるがよくわからない。細い糸で縫合された跡を見つけるとカッターナイフの刃先を当ててゆるゆると裂く。縫合糸がぷつぷつと切れた。裂け目が簡単に広がる。指を入れてさらに広げる。殻は内側も白い。なかから空豆ほどのカプセルが転がり出た。エンジニアの習性でただちにカプセルを計測する。長さ23mm、直径8mmの円筒形で両端部は半球状。側面に小さく印字されたQRコードを見つけたのでスマホで読み取る。スマホ画面には星屑がいっぱいの宇宙の映像。星をかき分けながら進んでいく。星が集まって「MOTHER」の文字を形作る。文字はすぐにフェイドアウトしてまた星屑の宇宙。机の上には散らばるシルク縫合糸の糸くず。