草ちゃんと牛くん

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草ちゃんは牛くんに恋をした。
草ちゃんは遠くから牛くんを眺める事しかできなかった。所詮、草と牛だ。
住処の影響も大きかった。草ちゃんは柵の外、牛くんは柵の内。この距離は近いようで遠い。
草ちゃんは連日連夜「少しでも彼のそばに」と天に願った。
その強い想いに気付いたものがいた。
風さんだ。
風さんは草ちゃんをのせ、牛くんのそばまで運んだ。
こうして草ちゃんと牛くんは対面を果たす事となる。
牛くんが草ちゃんのもとへのっそりやって来た。胸高鳴る草ちゃん。
牛くんはそんな草ちゃんに顔を近付けた。「キス?!」と草ちゃんが俯く。
牛くんの口が草ちゃんに触れた。草ちゃんは夢見心地だ。
しかしそれはほんのわずかの時間だった。むしゃり、と牛くんが草ちゃんを食べた。
翌日、草ちゃんは牛糞の中にいた。
それでも想いは強く残っている。この想いは肥料となり、次の草へ託されるのだ。
生まれ変わっても、恋は終わらない。
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公開:21/01/12 02:34
更新:21/01/12 11:54
牛まつりのあと

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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