ギューホの白い牛
8
24
遊牧民の少年ギューホは足が遅かった。
「牛ギュー!」
馬鹿にもされた。
ある日、少年は白い子牛を拾い、カウと名づけ大切に育てた。乳が出始めると少年は毎朝、その牛乳を飲んだ。
数年後、骨太に育った青年は王様主催の持久走大会に参加することに。カウの牛乳を飲み挑むと見事に優勝した。
だが、王様は牛の糞でも見るように「ふん」と吐き捨て、珍しいカウを青年から奪った。
カウはウシシと逃げ出すも、王様の追っ手の火矢に狙われる。ここでBBQになってたまるか。純白の乳と真紅の血を流し、粘り強く歩を進め、主の家へ帰還したカウ。青年の腕に抱かれると、モォー鳴くことはなかった。
泣くばかりの青年はその晩、カウの夢を見た。
「靴を作るモォー」
翌朝、青年は亡骸の牛革を使い、白い靴を作った。カウの背中に乗ったような履き心地の走りやすい靴。
その靴は時が経った今でも『ウシックス』と呼ばれ、多くのランナーに愛されている。
「牛ギュー!」
馬鹿にもされた。
ある日、少年は白い子牛を拾い、カウと名づけ大切に育てた。乳が出始めると少年は毎朝、その牛乳を飲んだ。
数年後、骨太に育った青年は王様主催の持久走大会に参加することに。カウの牛乳を飲み挑むと見事に優勝した。
だが、王様は牛の糞でも見るように「ふん」と吐き捨て、珍しいカウを青年から奪った。
カウはウシシと逃げ出すも、王様の追っ手の火矢に狙われる。ここでBBQになってたまるか。純白の乳と真紅の血を流し、粘り強く歩を進め、主の家へ帰還したカウ。青年の腕に抱かれると、モォー鳴くことはなかった。
泣くばかりの青年はその晩、カウの夢を見た。
「靴を作るモォー」
翌朝、青年は亡骸の牛革を使い、白い靴を作った。カウの背中に乗ったような履き心地の走りやすい靴。
その靴は時が経った今でも『ウシックス』と呼ばれ、多くのランナーに愛されている。
ファンタジー
公開:21/01/11 23:03
牛まつり
★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!
★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』
★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。
・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池
の選択』、六文字の返信ほか)
https://amzn.asia/d/8qmIuR7
・カプセルストーリー(特殊外来種ハンター、カンガルー・ノート、露の楽譜ほか)
https://amzn.asia/d/iW14MdM
ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
https://amzn.asia/d/8qmIuR7
・カプセルストーリー(特殊外来種ハンター、カンガルー・ノート、露の楽譜ほか)
https://amzn.asia/d/iW14MdM
ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
ログインするとコメントを投稿できます
そるとばたあ