誤睡

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歯に挟まったチンゲン菜が取れて、昼食の味を思い出した。
俺、あれ好きだわ。XO醤。
何だか知らんけど。
何だ、エックスオージャンって?
まあ、うまいからいいんだわ。

眠っている仔猫をボーッと眺めていると、幸せなことしか思い浮かばない。
コイツの種類を俺は知らない。
名前はまだない……はずだ。
売られる前提で育てられている彼ら、彼女らには、名前は付けない。

犀良の手の握りが少し強くなった。
「どうした?」
「違うし。何でもないし」
返事に対して、目の輝きはいつもの犀良と違っていた。
ちょっと高めの中華料理を前にしても、犀良はいつもの無関心だった。そのように、俺には見えた。
仔犬は、ケースとタオルケットに挟まれて眠っていた。
犀良を優しく撫でるアイツが重なった。

いつもと違う犀良を見られて良かった。今日に感謝だ。
「さあ、そろそろ行こうか」
犀良の手の握りが、また強くなった。
「かうし」
ミステリー・推理
公開:21/01/11 22:22
牛まつり

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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