カウンセラー
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「なんでこんなに考えすぎちゃうんだろうなあ」
僕は一頭の牛をさすりながら呟いた。
「昔からなんだよね。
人からどう思われているのか必要以上に考えちゃう。
こうやったら嫌われるかなとか、変な空気になるかなとか。
そうしたらすごく萎縮して当たり障りのないことしか言えなくなって。
学生時代ならやり過ごせてたんだけど、仕事となると厳しいね。
つい最近も上司に怒られて落ち込んだよ」
僕は喋りながら、ネガティブな気持ちが手の平から牛の体へ流れていくのが分かった。
と同時に心が軽くなる。
やがて牛がクチャクチャと口の中で何かを噛み始めた。
僕のネガティブな気持ちを反芻してくれているのだ。
「ありがとうね」
僕が言うと、牛はモウと短く鳴いた。
僕は背中を押されたように感じて目を潤ませた。
分かってる。
なにをすべきかは分かってるんだ。
再び発したモウという鳴き声がだだっ広い牧場に吸い込まれた。
僕は一頭の牛をさすりながら呟いた。
「昔からなんだよね。
人からどう思われているのか必要以上に考えちゃう。
こうやったら嫌われるかなとか、変な空気になるかなとか。
そうしたらすごく萎縮して当たり障りのないことしか言えなくなって。
学生時代ならやり過ごせてたんだけど、仕事となると厳しいね。
つい最近も上司に怒られて落ち込んだよ」
僕は喋りながら、ネガティブな気持ちが手の平から牛の体へ流れていくのが分かった。
と同時に心が軽くなる。
やがて牛がクチャクチャと口の中で何かを噛み始めた。
僕のネガティブな気持ちを反芻してくれているのだ。
「ありがとうね」
僕が言うと、牛はモウと短く鳴いた。
僕は背中を押されたように感じて目を潤ませた。
分かってる。
なにをすべきかは分かってるんだ。
再び発したモウという鳴き声がだだっ広い牧場に吸い込まれた。
公開:21/01/10 22:52
牛まつり
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
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