丑蜜
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普段使っているショッピングモールの中に、新しいテナントショップが開店したらしい。
行ってみると、ハチミツが売っているらしかった。
「いえ、これはハチミツじゃないんですよ」
「え?」
おかしいな、と思いながら、店の看板をもう一度確認すると、そこには“丑蜜”とある。
「うしみつ?」
私が声に出して読むと、店員さんが説明をしてくれた。
「ここの蜜は、特別な牛からもらったものを使っているんです」
「特別……ですか」
「蜜牛(みつうし)という名前の、夜行性の牛がいるんですが、満月の夜の丑三つ時にだけ、乳房から蜜を出すんです。それがこれなんですよ」
そういいながら、店員さんは試食を用意してくれた。
「よかったら」
スプーンの上に乗った薄黄色の蜜は微かな粘性と光沢を持っている。
「優しい甘さ……」思わず頬がほころぶ。
店員さんはにっこりと笑った。
夜遅く、満月を眺める牛の、瞳に映る景色に想いを馳せた。
行ってみると、ハチミツが売っているらしかった。
「いえ、これはハチミツじゃないんですよ」
「え?」
おかしいな、と思いながら、店の看板をもう一度確認すると、そこには“丑蜜”とある。
「うしみつ?」
私が声に出して読むと、店員さんが説明をしてくれた。
「ここの蜜は、特別な牛からもらったものを使っているんです」
「特別……ですか」
「蜜牛(みつうし)という名前の、夜行性の牛がいるんですが、満月の夜の丑三つ時にだけ、乳房から蜜を出すんです。それがこれなんですよ」
そういいながら、店員さんは試食を用意してくれた。
「よかったら」
スプーンの上に乗った薄黄色の蜜は微かな粘性と光沢を持っている。
「優しい甘さ……」思わず頬がほころぶ。
店員さんはにっこりと笑った。
夜遅く、満月を眺める牛の、瞳に映る景色に想いを馳せた。
ファンタジー
公開:21/01/10 21:13
更新:21/01/10 21:53
更新:21/01/10 21:53
牛まつり
たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!
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