モウ、モウ、モウ

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ある時、真っ黒な巨大な牛が線路を塞ぎ、寝転んでいました。電車を利用する人達は皆、困り果てました。

「モウ! 仕事に遅れる!」

一人の男が、牛を押しました。
それでモ、牛は動きません。

「モウ! デートに遅れる!」

若い女性も加わりました。
それでモ、牛は動きません。

車で引いても、電車で引いても牛は動きません。

仕方なく、かわいそうとは思うものの、牛に火をつけました。すると不思議なことに、牛は熱がりもせず、炎に包まれたまま眠り続けました。真っ黒に焼き上がった牛は、香ばしい匂いをさせました。皆、涎を垂らし、大きな口を開けて貪り食べました。

やがて満腹になった人達は疲労も手伝い、一旦横になるとそのまま眠ってしまいました。

翌朝。線路いっぱいに、黒い牛がたくさん、寝転んでいたそうです。

ご拝聴ありがとうございました。以上が此処の名産の牛のお話です。
いかがです。お味のほうは?
その他
公開:21/01/10 20:40
更新:21/01/10 20:43
牛祭り

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

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