町の小さな駄菓子屋さん

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路地を少し進むと子供達が集まる駄菓子屋がある。
イカちゃんく。私が小さな頃からそう呼ばれていた店。本当の名は誰も知らない。
名前も知らぬその店がいつの間にか閉店していた。
小さな店だから密にならざるを得なかった。コンビニが台頭し、駄菓子屋に来る子供が減った。閉店する理由なんていくらでも思いつく。寂しい気持ちで一杯になった。
「どうしたんだい?」
駄菓子屋の婆ちゃんが私に声をかけてきた。
「店をたたんだ事かい。仕方ないよ。吹けば飛ぶような小さな店だ」
快活に笑う婆ちゃん。寂しくないの?
「ああ、寂しくないさ。イカ駄菓子屋は時代の波に乗って大海原へと出向するんだ。小さな店だが、荒波を乗り越えるノウハウは持っているからね」
婆ちゃんが店に入ると店はふわりと浮かび、波に乗るようにゆっくりと空を進んでいく。
「それじゃ、またどこかで会おう!」
船長帽を被った婆ちゃんが窓から顔を出し、私に手を振った。
公開:21/01/10 20:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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