闘牛病

12
19

「ここ数日赤いパンティとか赤信号とか赤いものを見ると、堪らず突っ込みたくなるんです」
「今流行りのウイルス性の闘牛病ですな。薬を出しておきましょう」
薬を飲んで数日経つと赤いものを見ても興奮することはなくなったが、やけに胸がむず痒くて張ってくる。やがて大きく膨らんだ乳房がパンと割れて4つに増えた。驚いて病院に駆け込む。
「ウイルスの変異で乳牛病が発症しています。これは乳を搾り切るしか治療法がないのです。隣の牧場に搾乳の名人がいます。紹介状を書きましょう」
牧場で搾乳されるとスッキリして乳房も元通りになった。
「やれやれ」
しかし今度は火を見るとやたら飛び込みたい衝動に襲われるようになった。怖くなりまたもや病院に駆け込んだ。
「ははぁ、かなり進行していますね。肉牛病です。私のところではもう手の施しようがありません」
「そんな!」
「大丈夫。紹介状を書きましょう。裏が処理場なんです。食肉の」
その他
公開:21/01/11 21:32
牛まつり

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容