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「牛丼大盛り、つゆだくね」
「あいよぉー」
あたしは牛野家の牛丼が大好きだ。
自分でもちょっと異常だとは思うが、一日一杯は牛丼を喰わないといられないのだ。
「今日もウシギューの牛丼は最高っ!」
とくにこの濃厚なつゆときたらもう、やっぱ牛丼は出汁が命よね。
しゃかしゃかと米を掻き込み、至福の時間が終わった。と同時に、がらがらがらとお店のシャッターがおりた。
「えっ!?」
「あんた、遂に365日の牛の米参りを達成なさったね」
店主は奥の壁を押し、秘密の入り口を開けてあたしを誘う。ふらふらと中へ入ると、がちゃりと扉が閉まった。
「えーーっ!?」
上からも下からも、大量の熱い液体が溢れ出した。
やがてあたしの肉体は首まで浸かり、芳醇な香りと一体となった。
今なら分かる。
あたしの身体から滲み出るエキスが、歴代の牛の米参りたちと共にあることを⋯⋯。
こうして牛野家の伝統の味は守られているのだ──。
「あいよぉー」
あたしは牛野家の牛丼が大好きだ。
自分でもちょっと異常だとは思うが、一日一杯は牛丼を喰わないといられないのだ。
「今日もウシギューの牛丼は最高っ!」
とくにこの濃厚なつゆときたらもう、やっぱ牛丼は出汁が命よね。
しゃかしゃかと米を掻き込み、至福の時間が終わった。と同時に、がらがらがらとお店のシャッターがおりた。
「えっ!?」
「あんた、遂に365日の牛の米参りを達成なさったね」
店主は奥の壁を押し、秘密の入り口を開けてあたしを誘う。ふらふらと中へ入ると、がちゃりと扉が閉まった。
「えーーっ!?」
上からも下からも、大量の熱い液体が溢れ出した。
やがてあたしの肉体は首まで浸かり、芳醇な香りと一体となった。
今なら分かる。
あたしの身体から滲み出るエキスが、歴代の牛の米参りたちと共にあることを⋯⋯。
こうして牛野家の伝統の味は守られているのだ──。
青春
公開:21/01/09 20:28
更新:21/01/10 03:23
更新:21/01/10 03:23
牛まつり
(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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