時代の変遷

　隠していたゲーム機が厳格な父に見つかってしまった。
「おい、安広！」
　僕は父の前に正座をさせられた。
「ゲームは勉強の邪魔だ！　この世にいらん！　俺はお前のためを思って言っていたんだぞ。それなのに、俺に隠れて勝手にこんなものを買って……」
　二時間に及ぶ説教の後、父はどこからか巨大なハンマーを引きずってきて、僕の前でゲーム機を滅多打ちにした。
「ああっ！」
「泣いても怒っても許さんぞ」
「いや、僕は別に泣きも怒りもしないよ」
「え？」
　そのとき、玄関から陽気な声が聞こえた。
「ただいまぁ」
　おじいちゃんが帰ってきたのだ。
「安広、一緒にゲームしよう……ぜ？」
　視界に入る、崩れ去ったゲーム機と、ハンマーを持った娘婿の姿。

　おじいちゃんは泣き狂って怒り狂った。

　早くもその晩、僕たちの家には総額十万はくだらない最新のゲーム機が備えつけられたのだった。