手袋みたいな恋人たち

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季節は冬。
私は身も心も冷えきっていた。
毎日毎日、自宅と職場を往き来するだけの日々。
そして、街を歩けば嫌でも目に入るカップルたち。

全く、なんなんだその距離感は。
そんなにべったりとくっついてないと歩けないのか?

周りの視線なんか全く気にしていない。完全に二人だけの世界だ。
駅の改札付近で抱き合ってキスしているのなんてもう。

きっとあのカップルだって、ずっと一緒だよなんて言っておいて、ちょっとしたケンカですぐ別れちゃうんだから。

そんな事を考えながら歩いていると、ふとあることに気がついた。
コートのポケットに入れてあったはずの手袋が足りない。

あれ、どこ行った?

振り向くと手袋が片方だけ落ちていた。

ああ、良かった。手袋ひとつだけじゃ寂しいもんね。

落ちていた手袋を拾い上げ、そうして一組の手袋を眺めた。
はあ、私も彼氏が欲しいなあ。
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公開:21/01/10 10:56

おばあちゃん

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