大牛展

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牛は人が生きていくうえで不可欠であるのみならず、芸術家たちの創造を触発してきた。
とある美術館の展覧会「大牛展」では、世界各国から集められた「一風変わった牛の絵画」数十点が展示されていた。

「うーん。何の変哲もない牛の絵にしか……」
「見えませんよねぇ」
「牛に囲まれて変な気分」
困惑の色を隠せない来館者たち。そこに館長がやって来た。
「人の目は騙されやすいのです」そう言いながら一枚の絵画を指さす。「この真正面を向いた牛の顔、模様をよーく御覧なさい」
来館者たちが眉根を寄せる。するとひとりの男が目を見開いた。
「黒い部分! 人と人が向き合っている!」
館長が静かに手を叩き「ご名答」と称えた。
「こっちの絵は上と下の空間が繋がっていて、無限の空間よ!」
「なるほど、エッシャーの……」
「ノンノン」と館長が笑いながら言った。「その“絵”の上をいく【“ウ”ッシャーのだまし絵】ってね。うしし」
その他
公開:21/01/09 21:12
牛まつり

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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