電車に乗ると猫がいた
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昼下がりのひととき。僕は通院のため電車に乗っていた。時間も時間だし、こういうご時世だし、車内はガラガラで同じ車両には数人がまばらに……と思っていたのだが、向かいのベンチシートにいる“それ”が気になってしまった。
照りつける陽射しが当たるそこに、香箱を決めた“それ”がいたのだ。見覚えのある白黒のハチワレな猫。
時折、停車駅で人が乗り降りするのだが、なぜか誰も“それ”に見向きもしない。まるでモーセの出エジプト記での紅海のように、そこだけ誰も近寄らないのだ。そして、存在自体を気にしていない様子。
しばらくして突然“それ”は目を開くと、大きくあくびをし、伸びをして立ち上がった。今まで見えなかった尻尾が二股に別れていた。
「お前、クロじゃないのか?」
僕は思わず声をかける。
(やあ、ひさしぶり。ボクが見えるのかい?)
それは10年前に死んだ飼い猫だった。
(こっちに来るかい?)
照りつける陽射しが当たるそこに、香箱を決めた“それ”がいたのだ。見覚えのある白黒のハチワレな猫。
時折、停車駅で人が乗り降りするのだが、なぜか誰も“それ”に見向きもしない。まるでモーセの出エジプト記での紅海のように、そこだけ誰も近寄らないのだ。そして、存在自体を気にしていない様子。
しばらくして突然“それ”は目を開くと、大きくあくびをし、伸びをして立ち上がった。今まで見えなかった尻尾が二股に別れていた。
「お前、クロじゃないのか?」
僕は思わず声をかける。
(やあ、ひさしぶり。ボクが見えるのかい?)
それは10年前に死んだ飼い猫だった。
(こっちに来るかい?)
ファンタジー
公開:21/01/08 17:54
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武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。
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