富子
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正月も働き詰めだった自分へのご褒美に焼肉屋へ足を運んだ。
「いらっしゃいやせ〜!イッチ名様入りま〜す!」
店員に案内されるままテーブルに向かうと、先に写真を持った爺さんが1人座っていた。
「あの、俺、相席はちょっと…」
「こちらナビゲーターの田中さんで〜す!」
そういうと店員はそそくさと戻って行ってしまった。
ナビゲーター?
店内BGMはドナドナ。嫌な予感しかない。
田中さんは牛の写真を俺にみせて言った。
「わしが育てた富子だぁ。可愛がってくれぇ。」
もしかして…。
注文した覚えのない肉がテーブルに並べられた。
「わしの奢りだぁ。食べてけれぇ。これがロース、これカルビ、そしてランプ、最後にタン…おぉ、富子ぉ。富子おおぉぉ。」
泣き始める田中さん。
地獄かよ。
「富子の名前は先立った妻からとったんじゃあ…」
勘弁してくれ。
写真の富子と目が合った。
潤んだ瞳に田中さんが映っていた。
「いらっしゃいやせ〜!イッチ名様入りま〜す!」
店員に案内されるままテーブルに向かうと、先に写真を持った爺さんが1人座っていた。
「あの、俺、相席はちょっと…」
「こちらナビゲーターの田中さんで〜す!」
そういうと店員はそそくさと戻って行ってしまった。
ナビゲーター?
店内BGMはドナドナ。嫌な予感しかない。
田中さんは牛の写真を俺にみせて言った。
「わしが育てた富子だぁ。可愛がってくれぇ。」
もしかして…。
注文した覚えのない肉がテーブルに並べられた。
「わしの奢りだぁ。食べてけれぇ。これがロース、これカルビ、そしてランプ、最後にタン…おぉ、富子ぉ。富子おおぉぉ。」
泣き始める田中さん。
地獄かよ。
「富子の名前は先立った妻からとったんじゃあ…」
勘弁してくれ。
写真の富子と目が合った。
潤んだ瞳に田中さんが映っていた。
その他
公開:21/01/08 14:36
牛まつり
世界一食べづらい焼肉屋
丑年
夜野 るこ と申します。
(よるの)
皆さんの心に残るようなお話を書くことが目標です。よろしくお願いします。
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