翼をください
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冷たい風が吹いている。
誰もいない屋上の、ふちに立つ。
幼い頃、絵本で見た天使様に憧れた。真っ白な羽根で、ふわふわと空を飛ぶ天使様。
(そんな、天使だなんて。もう、程遠いけど)
一体何処で何を間違えたのか。
上手く生きてきたつもりだったけど、気が付けば家にも学校にも、居場所も、味方も無くなっていた。
今は、いつもいつも逃げ場所を探してさ迷っているだけ。
(天使様、というよりはまるで幽霊だ)
そう、幽霊なのだ。居場所も目的も無く、ただ毎日さ迷っているだけ。そして、そんな私の姿は誰にも見えない。
ああ、いつの間に私は死んでいたのだろう。
いや、きっと、とっくの昔に、死んでいたのだろう。
「…今、私の願い事が叶うならば。翼が欲しい」
どうせ死んでいるのなら、せめて。
幽霊では無く、あの頃の夢を。
「この背中に、鳥のように」
白い翼、つけてください。
足元が、ふっと軽くなった。
誰もいない屋上の、ふちに立つ。
幼い頃、絵本で見た天使様に憧れた。真っ白な羽根で、ふわふわと空を飛ぶ天使様。
(そんな、天使だなんて。もう、程遠いけど)
一体何処で何を間違えたのか。
上手く生きてきたつもりだったけど、気が付けば家にも学校にも、居場所も、味方も無くなっていた。
今は、いつもいつも逃げ場所を探してさ迷っているだけ。
(天使様、というよりはまるで幽霊だ)
そう、幽霊なのだ。居場所も目的も無く、ただ毎日さ迷っているだけ。そして、そんな私の姿は誰にも見えない。
ああ、いつの間に私は死んでいたのだろう。
いや、きっと、とっくの昔に、死んでいたのだろう。
「…今、私の願い事が叶うならば。翼が欲しい」
どうせ死んでいるのなら、せめて。
幽霊では無く、あの頃の夢を。
「この背中に、鳥のように」
白い翼、つけてください。
足元が、ふっと軽くなった。
その他
公開:21/01/07 13:00
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