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中村は空を眺めた。
月の無い空だった。代わりに、星がはっきりと見えた。
中村は手を擦り合わせる。白い息を手に吹きかける。まもなく、日が変わろうとしていた。
男が、走って向かって来た。肩が激しく上下している。男は、息を整えると、中村を見上げた。
「先生…なんで牧場にいるんですか…」
「小林君か、君とそのように約束したからだが」
「え?何を仰ってるのですか?」
「ほら、手帳にも書いてある」
中村は手帳を投げて渡した。小林はそれを受け取り、まじまじと見た。

『牛前11時 少林と同象にて待ち合わせ』

手帳には、しっかりとした筆跡で、そう記されていた。
小林はため息を吐いた。
牛はいびきを立てていた。
中村を乗せた象は大きく欠伸をした。
その他
公開:21/01/07 08:28
更新:21/01/07 22:58
牛まつり

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