流浪の女
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里帆は昨日マッチングアプリで会った男に大衆居酒屋に連れていかれ、その店における累計36匹目のししゃもを頬張った。
軽薄な学生も、嘯くサラリーマンも、夢追う自称ミュージシャンも、みな今夜の吐精先を探しているに過ぎない。小さな脳味噌、いや大きな陰嚢で考えたのであろう口説き文句を垂れるその必死さに、里帆は滑稽を通り越してもはや愛おしいとすら感じていた。
里帆は、もう何年も前に夢や目標などといった光り輝く単語は既に黒く塗りつぶし読めないようにした。
この世に漂う何億もの男に揺られて生き、飯を食い排泄するのみである。
ある日、旧友の母親が亡くなった、という知らせを母から聞いた。それが母からの1年振りのショートメールだった。
昔本当に良くしてもらった人だ。
しかし次の瞬間には、由香にどんな顔して会えば良いだろうと考えた。
黒い服なんか似合わないのに、と思いながら新幹線の時間を調べた。
軽薄な学生も、嘯くサラリーマンも、夢追う自称ミュージシャンも、みな今夜の吐精先を探しているに過ぎない。小さな脳味噌、いや大きな陰嚢で考えたのであろう口説き文句を垂れるその必死さに、里帆は滑稽を通り越してもはや愛おしいとすら感じていた。
里帆は、もう何年も前に夢や目標などといった光り輝く単語は既に黒く塗りつぶし読めないようにした。
この世に漂う何億もの男に揺られて生き、飯を食い排泄するのみである。
ある日、旧友の母親が亡くなった、という知らせを母から聞いた。それが母からの1年振りのショートメールだった。
昔本当に良くしてもらった人だ。
しかし次の瞬間には、由香にどんな顔して会えば良いだろうと考えた。
黒い服なんか似合わないのに、と思いながら新幹線の時間を調べた。
その他
公開:21/01/06 23:00
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