ヒミツーおやつショートショート・蜂蜜酒(ミード )のゼリー
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幼い頃の記憶だ。
ある夏、遠い親戚だと言う人の館に遊びに行った。
古い屋敷、夏草の繁る広い庭。
「何をしているの?」
館の主人は両親より少し年上の男で、一人で暮らしていた。
その人が庭の隅に屈み込み、何かしている。
私が近づくと、男はやっていることを見せてくれた。
白い皿に、とても古い正六角形の虫眼鏡、のような不思議な道具。
「いいかい?」
男は、虫眼鏡で日光を集める行為そのままに、皿の上に六角形の道具をかざした。引き絞られた太陽光の小さな点。やがて、そこにポタリと金色の滴が垂れてきた。どこから現れるのか、ポタリ、ポタリ。
「これは太陽の光の蜜。陽蜜だよ」
舐めてみると確かに甘い。
「これに水を加えて発酵させて酒にするんだ。君が大人になったら贈ろう。きっと役に立つよ」
その酒が今、大人になった私の手にある。
行方不明になった彼の残した手帳と共に。
ある夏、遠い親戚だと言う人の館に遊びに行った。
古い屋敷、夏草の繁る広い庭。
「何をしているの?」
館の主人は両親より少し年上の男で、一人で暮らしていた。
その人が庭の隅に屈み込み、何かしている。
私が近づくと、男はやっていることを見せてくれた。
白い皿に、とても古い正六角形の虫眼鏡、のような不思議な道具。
「いいかい?」
男は、虫眼鏡で日光を集める行為そのままに、皿の上に六角形の道具をかざした。引き絞られた太陽光の小さな点。やがて、そこにポタリと金色の滴が垂れてきた。どこから現れるのか、ポタリ、ポタリ。
「これは太陽の光の蜜。陽蜜だよ」
舐めてみると確かに甘い。
「これに水を加えて発酵させて酒にするんだ。君が大人になったら贈ろう。きっと役に立つよ」
その酒が今、大人になった私の手にある。
行方不明になった彼の残した手帳と共に。
その他
公開:21/01/06 21:35
更新:21/01/06 21:43
更新:21/01/06 21:43
朗読依頼等は、お手数ですがこちらまでご連絡ください。
Twitter @hori_mashio
tamanegitarou1539@gmail.com
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