時間のつぼみ

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『皆様、今日も元気に行動しましょう』
町の中央、まるで蕾のようなモニュメントから声がする。皆、その声に従い機械の様に動き出す。
大人は会社へ、子供は学校へ向かう。
時間の蕾…そう呼ばれるものに私達の生活は支配されている。時間の蕾に従えば平穏が約束される。逆らえば将来を見失う。
そんな生活に私は嫌気がさしていた。未来とは自分の手で掴むものだ。
私は人の波から外れ、時間の蕾に近づく。
『止まりなさい』無視して、凶器を振り上げる。
『この者を止めなさい』寄ってくる者を凶器で威嚇する。
『助けて下さい』全力で拒否する。
時間の蕾は砕け散った。人々は唖然としている。困惑している。
私は時間の蕾が鎮座していた場所にリュックから取り出した物を置く。
「よくやった。これからは我が指示を出す」
人を支配するのは蕾ではない。花でもない。この果実以外ありえない。
ああ、時間の果実よ。どうか私達を導いて下さい。
公開:21/01/06 20:41

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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