バックミラー

2
1

「いらっしゃいませ。どのような鏡をお探しですか?」
逃げ込んだ先の店で女性が私に微笑みかけた。
私は今、暴力を振るう彼から逃げている。何も聞かず匿って欲しい…
「テメェ!こんなところに居やがったか!」
見つかった!?
「俺のバックにはヤクザがいるって教えただろうが!何逃げてんだよ!殺すぞ!」
恫喝する彼。恐怖に震える私。くすくす笑う女性。
「…何笑ってやがる?」
「お客様、そちらの鏡はバックミラーと言って、背後にいるものを映し出す鏡でございます。彼の背後には疫病神と貧乏神しかいませんよ」
鏡を覗き込むと彼の背後には襤褸を着た老人がしがみついていた。
彼は顔を青くさせると悲鳴を上げて走り去った。
「これでもう大丈夫です」
「ありがとうございます。助かりました」
女性は首を振る。
「いえいえ、貴方を助けたのはそちらの守護霊ですから」
鏡を見ると安堵の表情を浮かべた両親と友達が映し出されていた。
公開:21/01/07 20:51
生霊も守護霊になれるらしい

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容