無音の目覚まし時計(解)

｢博士、どうしてこの時計で大変な目に遭ったんですか？｣
｢それはじゃな……例えば、君がもし目覚まし時計を買ったら、真っ先に何をするかね？｣
｢ええっと、それは……まず、現在の時刻に目覚ましを設定して、目覚ましが鳴るかどうかチェックし……あっ!!｣
｢……そうじゃ。この目覚ましは、音が鳴らんのじゃ。お陰で、これを買ったお客からは｢壊れている｣｢不安で使えない｣というクレームが相次いでな。
おまけに、音として聞こえない覚醒電波を出す事ができるもんだから、｢スポーツ選手の部屋の目立たない場所にこれを複数設置し、時間差で作動させ、レース前日に選手を原因不明の不眠に陥らせる｣などという嫌がらせをした奴もいたんじゃ。それが発覚して、ワシは警察と関係者からこっぴどく叱られてのう……今じゃ、この発明はワシのトラウマの１つじゃよ。トホホ｣
(いや、｢無音｣に拘らなければ良いだけじゃ……勿体ないなあ)