雨よ降らないで

晴れと雨、どっちが好き？

大抵の人は、晴れって答えるはずだ。

晴れてる方が気持ちいいに決まってる、はずだから。

雨が降ると、どこか暗い気分になる。

雨が降れば、どうしたって視線は足元に落ちる。雨に濡れまい濡れまいと、傘の中で、どうしたって背筋が縮こまる。

思いきって、雨の中、上を向いて歩いてみないか？

そう、雨に唄えば。

ぽつりぽつり、雨粒が空から落ちて来る。空を仰ぐ。雫が顔を叩く。

時に優しく、時に激しく。時に温かく、時に冷たく。

無数の雫に一粒として同じ雫はないんだってことに、君は気づけるか。

雫の一粒一粒と対話できる繊細さだったり、心のゆとりだったりが、君にはあるか。

そう、雨が問いかけてくる。

雨空から目を背けるって、実は、雲の上のささやきから耳を背けるってことなんじゃないだろうか。