薬売り

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ピンポンが鳴りインターフォンカメラには人の良さそうなおじさんがニィと笑って映っていた。ドアーを開けると、背中に大きな風呂敷包みを背負った人がいた。
押し売りかなとも思ったが、変な人では無さそうだし話は聞こうかと玄関に入ると、実は私は薬売りでしてと言う。
そう言えば小さい時に、おじさんが家に来ては薬を置いて帰った。お腹の痛い時など薬箱の薬を母親が飲ませてくれた。薬売りの人からは、必ず何か玩具を貰った事も思い出した。急におじさんは紙風船を出して私に呉れた。
何と懐かしいと息を吹き込み膨らませて、ポンポンと突いてみた。それを見ていたおじさんはあんたはゴンスケちゃんだねと言ったのでびっくりした。

実は私は本当は狸の化身でね、今年で150歳になります。今はドラッグストアもあるし、webでも薬は買えるし行商は無理だけど、縁あった懐かしい人に会えるのが楽しみでね、この仕事をやめられないですと言った。
ファンタジー
公開:20/10/29 09:28
更新:20/10/29 18:22

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