落とし物コーナー

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落とし物コーナーに髪をリボンで結った可愛い少女がやって来た。
係のおじさんが尋ねた。
「何をなくしたんだい?」
「なんていうか、ふわふわとしたあいまいな形のもの」
「それじゃどんなものかわからないね」
「あのね、こう少しだけ胸があたたかくなるの」
「もしかして毛布かな?」
「ちがうの。私、あれの呼びかたを知らないの」
「それは困ったねえ」
「あれがないと、私生きていけないの」
「ハッもしかしてそれは、愛、じゃないのかい?」
「あい?それってなーに?」
「僕が教えてあげよう。さあ、僕の腕の中に飛び込んでおいで!」
おじさんが広げた腕をぐいと掴んで、少女は一本背負いをした。
「ぐほあ!」
おじさんは地べたに横たわった。
「あ、あった!」
少女は落とし物ボックスの中にそれを見つけた。
ふわふわの大きな熊のぬいぐるみ。
「ここにいたのね!もう迷子になっちゃダメよ!」
少女はるんるんと去っていった。
その他
公開:20/10/29 09:09

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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