ペットの名前

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「お父さんの忘れ物、届けてくれる?」
冬休みだというのに嫌な用事を押し付けられ、家を出た。

受け渡していると、父の上司が通りがかった。
「いい娘さんだね。うちの隣に住む女性なんて家族からの電話でよく喧嘩しているよ」
返事に困り笑顔で会釈してその場を離れた。

「昨日も恵美ちゃんと喧嘩になってねぇ…」
公園でお婆さんが猫に話しかけている。かわいい猫だ。
そうだ。商店街で買い食いして帰ろう。
コロッケを頬張っていると、あの猫が飛び出してきた。
男の子がギャ!と隣にいた女の子に飛びついた。
「なによう。猫嫌いなの。かわいいじゃない」
まぁうちのクロ助よりはかわいくないね。犬だけど。
と女の子は笑い、男の子はその笑顔を照れくさそうに見ている。

―多分だけど。

父親の上司の家の隣に住むお姉さんのご実家にいるお祖母さんが可愛がっている猫を嫌っている男の子が恋してる女の子のペットの名前を知った日。
その他
公開:20/10/28 21:38
更新:20/10/28 21:45
コンテスト わらしべ長者

雨森れに( 東京 )

色合いの綺麗な物語を紡ぎたい。
シーンごと切り取られた刹那。
不思議、恋愛、ファンタジー、怪談、純猥談などをチラホラと。
中身はお酒が好きなアグレッシブ。

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