人形ごっこ

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少女はガラス瓶から、人形の頭と上半身、下半身をそれぞれ取り出し組み立てた。黒髪のおさげを頭につけて、最後に小さなガラスみたいなハートを胸に押し込む。そんな作業を繰り返し父がくれた箱庭に人形たちを放った。
ハートを埋め込まれた人形は箱庭に設置されたログハウスやテント等、各々がお気に入りの場所を見つけペアを作った。
父から貰った人形がどうして動くのかは分からなかったが、父が有名な魔法使いだということは知っていた。
「サラ、そろそろ寝なさい。人形はちゃんと元に戻すのよ」
「ママ、わかってる」
「お休みなさい」
母が一階へ降りていくのを確認して、細く開けた窓にロープを垂らした。そして箱庭に梯子をかけて、部屋の電気を消しベッドに潜り込んだ。梯子から窓まで貼った光の道を人形たちが歩いていくのを想像するうちに寝てしまった。
カーテンが揺れ、幾つもの小さなシルエットが朧月が見える窓の外に消えた。
ファンタジー
公開:20/10/28 20:14

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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