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廊下の先の扉の奥は死の部屋と呼ばれた。
なんだか妙な名前だが、死なんてそう大層なものではない。
部屋の中にはいろんな死があった。
トグロを巻いたもの、巨大なもの、小さいもの、刺々しいもの、繊細な工芸品のようなもの、長いもの、丸いもの、透明なもの、ざらざらするもの、穴が空いているもの、ツルツルしたもの。

すべての死は完成品だ、何かを付け足すことも、取り去ることもできない、そう父は言った。

私は退屈するとよくその部屋に遊びに行った。父は心配しなかった。なにせ傷ついたり、損なわれたり、汚れが付着したりすることがない。死は完全なのだ。

あるとき死を積み上げてタワーを作っていると、叔父さんが部屋にやってきた。

「これをあげよう、レナ」
それはぐにゃぐにゃしていて臭いし、なま暖かい。千切れもする。完全じゃない。
「なにこれ、変なの」
「生と言うんだ」
叔父さんは私の頭を撫でて部屋を出て行った。
ファンタジー
公開:20/10/31 07:00
更新:20/10/30 05:47

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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